左手と右手

もうすぐ年に一度の健康診断。その際に握力検査もします。私の握力は左右ほぼ同じで同年齢の女性平均以上。そこで、手の事を昔のエッセイで話題にしたことを思い出しました。私は2000年から2002年にかけてカリフォルニアのインターネット版毎日新聞USAにエッセイ「ヴァイオリン弾きのお美っちゃん」というタイトルで連載していました。以下の短い文章はエッセイのひとつの抜粋です。(中村美智子)

………左手でお箸を持って食事をしていると「あっ、左利きですか」と言われる。いろいろな場面での小さなやりとり。心の中で用意されていた答えとは違う返答があると、人は、ほんの少しだけ騙されたような顔つきを見せる。10歳のある時「もしも病気か事故で右手が使えなくなったら左手で食べよう」と思いつき、左手にお箸を持ってラーメンを食べた。初めてお箸を左手に持つのに何の苦労もなかったので、もしかして元々両利きだったのかもしれない。「誰でもない。私自身が可能性を縛りつけていたのではないか」と思ったりする。………

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