ジャニスさんのこと


「ヴァイオリン弾きのお美っちゃん」の一部、先程の抜粋のあとにはジャニスさんのことも続けて書いていました。曙さんは今年4月に亡くなりました。お母様のジャニスさんの謙虚なお人柄のことを書いた文章の抜粋。ここに添えます。(中村美智子) 


……「まだ少し右手が痺れているの。フラダンスを踊る時に、微妙ななめらかな動きがまだ出来ないの」。そう言いながらジャニスはソファに深く腰掛けたままで、両手のそれぞれの5本の指を波だたせるようにしなやかに宙に踊らせて、微笑んだ。息子のチャド、つまりは曙関が横綱になる前も、なってからも、引退してからも、ジャニスの謙虚で質素な暮らしぶりや、人に対する温かい思いやりは変わらない。心から人が好きなのだ。「横綱の母っていうことは時とともに忘れられてゆくから、私は、私の仕事や楽しみをしっかりとやって生きていたいのよ。私は人に会うのがとっても好きだからね」と言う。ジャニスの人を包み込むような大らかな笑顔は、体の大きさからくるものではなく、聡明な内面から出てくるものだ。そして、その笑顔とともに耳にするさりげない会話は、接する人の心に小さな幸せを注ぎ込んでいる。と、私は感じている。(毎日新聞USA連載)

上記の抜粋に加えジャニスの曙への思いも以下に抜粋。

……息子のチャドが大相撲の横綱になった時、「日本で有名になってお金をたくさん持つようになっても、質素な暮らしをしていたハワイでのことを忘れてほしくないのよ」と、厳しい表情を見せて、私に言った。……

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