いま読んでいるミステリーの主役は和歌で、そのなかに含まれている暗号が解ければ謎も解けるという趣向になっていますので、いきおい和歌にまつわる言葉遊びの技法が色々紹介されていています。
沓冠(くつかむり)もその一つです。これは和歌の句切れの部分を拾っていくと、和歌でうたっている主題とはまったく違った意味があらわれる技法で、頭の部分に意味を持たせれば冠(かんむり)となり、語尾の部分に意味を持たせれば沓(くつ)となります。
例えば、「伊勢物語」の在原業平の詠んだ歌
からころも
きつつなれにし
つましあれば
はるばるきぬる
たびをしぞおもふ
各行の頭を拾って行くと、かきつばた を詠み込んでいる冠の歌となります。

このミステリーでは、色葉歌(いろは歌)が重要な役をします。
いろはにほへと
ちりぬるをわか
よたれそつねな
らむうい(*)のおく
やまけふこえて
あさきゆめみし
え(*)ひもせす (*は古い字体)
色葉歌は、いろは47文字の全てを一回ずつ使って出来ている事で知られていますが、ある研究者によれば、色葉歌は沓(くつ)の暗号文で、7字書きにし沓、つまり各行の最後の字、を拾っていくと、とかなくてしす(咎(罪)無くて死す)となり、無実の罪で死刑に処せられた男の怨念の籠った遺書だとしています。
高校の古文の授業ではこういうことにはまったく触れず、ひたすら歌を暗記するだけでしたから、へーツ、そうだったのかと、一時ミステリーの筋をはなれて感心しています。

とがなくてしす
私は高校の頃先生が豆知識として教えてくださいました!
何気無く読んでいたいろはうたに、隠された意味があったのを知って、
わーっと鳥肌が立ったのを覚えています…!
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豆知識どころか大知識ですね。
たまたま手にしたミステリーに教わる事多々、一方、自身の浅学さを悟っているところです。
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