漢字と和読み

歌舞伎役者の似顔絵で知られた浮世絵師のことを書いた本には、18世紀末に上演された江戸の歌舞伎の演目が次々と出てきます。例えば、『花菖蒲思簪』『二本松陸奥成長』『桂川月思出』『四方錦故郷旅路』『花都郭縄張』『松貞婦女楠』といった具合です。
読者にとって幸いな事には、これらはどれも平仮名付きで 『はなあやめ おもいのかんざし』『にほんまつ みちのく そだち』『かつらがわ つきのおもいで』『よものにしき こきょうのたびじ』『はなのみやこ くるわのなわばり』『まつのみさお おんなくすのき』と読めるのです。
面白い事に、言葉の意味は漢字を見ただけで十分理解できますが、平仮名だけを読んでは直ぐピンとはこないでしょう。漢字で意味が分かり、読みかたには仮名を使う。贅沢だと思わずにはいられません。

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