小梅姫

時代物のしゃれた額(がく)の掘り出し物があればと、オールドマーケットプレースと呼ぶ下町に行ってみました。数軒、アンティークショップを覗いて廻って、気に入ったものがなく、これが最後と寄った店は、アンティークというより、1940年から50年にかけての古物がぎっしり詰まった店でした。そのなかに、遠目にもあざやかな赤は日本の色とわかる小さな絵が目に留まりました。よく見ると梅の模様のおべべを着た少女が梅の花をめでている図柄で、帯も着物も絹です。右下に一栄の銘と印が入っています。60年ほど前という時期から察するに、日本に駐留したアメリカ青年が故郷の家族に持ち帰ったお土産が、家族が亡くなった後、アンティークショップに出てきたのでしょう。こういった日本の手工芸品を見ると購入せずにはいられません。いささか貧弱な額に入っていましたので、馬子にも衣装と、立派な額に入れなおしました。額屋さんで、なんと呼びますかと尋ねられましたので、「小梅姫」と呼ぶことにしました。

アンティークショップで見つけた日本の絵といえば、10年前、土佐左近将監光起筆とある絵を買いました。2羽のうずらを描いた日本画なのですが、中途半端に隠れた植物の具合や、起筆と記してあるにもかかわらず、毛筆の文がないことなどから、元来は大きな掛け軸かふすまの絵であったのを、洋風サイズに切って売ったのではと憶測しています。勿論、そうせざるをえない事情があってのことで、その事情とは、終戦時の金銭上の困難としか考えられません。

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