徳川慶喜将軍の贈り物
オマハ市のDurham Western Heritage Museumという長い名前のミュージアムは、かってユニオンステーションと呼ばれた駅でした。鉄道運輸華やかりし頃は, 日に64本の列車と1万人の乗客が行き来していました。アートデコの建物の内部はホテルのロビーにも劣らぬ贅を尽くしたもので、こんなに立派な待合室ならば一晩過ごしても構わないと思わせます。
客車運転が停止した1971年にこの建物はオマハ市の寄付され、5年後の1976年にオマハ市の歴史を伝えるミュージアムとして再出発しました。Durhamはこの再建に力を尽くしたオマハ市民の名前です。
年間を通して種々の展示会がもたれていますが、目下、19世紀末から20世紀初頭にかけての西部をえがいた絵が展示されています。、その多くは他所ではまず見る機会はないとのことですので行ってきました。どの絵も時間をかけて描かれた写実画で、その当時の西部をしのばせます。
たまたま コルト銃で知られたサムエル コルトの業績も同時に展示されていました。銃には興味がないので、さっと見て回っていたところ、ガラスの陳列棚に黒と金の漆器が飾ってあるのに眼が留まりました。
説明文によると、1854年にペリー提督が横浜に上陸した際、徳川慶喜将軍に送った数々のアメリカの工業品の中にコルトの連発式銃も含まれていたとのことです。徳川将軍からペリー提督に託された贈り物のなかの2振りの刀、2丁の銃(matchlock)ならびに漆器が、コルト氏の元で保存されていた というわけです。
黒船来航から大政奉還にいたるこの時代といえば、「幕末 大混乱」といった印象しか持っていませんでしたので、こういった贈り物の交換がなされていたり、日本工芸の真髄ともいえる漆器が贈答品としてアメリカに渡っていたとは、まったく意外な気がしました。

