Dr. Yoko Kelley のネブラスカ便り 32

 霧の町といえば海国イギリスのロンドンですし、霧笛といえば沖合いを航行する船と、霧は海と深い縁がありますが、大陸の真ん中でも気象条件さえ揃えば霧が発生します。

 すなわち、空気中の水分量が高く、日没後温度が低下する場合です。濃霧の中を車を運転した経験が2回有りますが、どちらも運転していて神経をつかいました。

 一回目のときは無風状態の夜間で、2回目は強い向かい風の吹く早朝でした。

  一回目の霧はたいへんに濃く、まるでミルクシェーキで出来たトンネルの中に入ったようでした。車外の景色が移動しないと、車が走っているという感覚が失わ れ、催眠にかかった気分になります。前を走る車のテールランプを唯一の手がかりにして、霧のトンネルを出るまで、ひたすら眠気と戦いました。

 2回目の時は高速道路を走っていたのですが、霧が向かい風に乗って、空を流れる千切れ雲のごとく、払っても払っても視野をさえぎって、これまた難儀でした。

 ちなみに、日本語では同じ現象を、春は霞(かすみ)、秋は霧(きり)と呼び分けますが、この習慣は平安時代以降にはじまっています。どうやら、筆記文化の起こりと関係がありそうです。  (2005年10月15日)


(ハワイパシフィックプレス連載)

 

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