Dr. Yoko Kelley のネブラスカ便り 14

  ネブラスカ州といえばトウモロコシ畑ですが、今回は食べる話ではありません。

 2003年末の狂牛病で打撃を受けた当州にとって朗報があります。

 ネブラスカ州と東隣りのアイオア州を隔てるミズリー川に沿って、オマハからすこし北上したところに、ブレアーと呼ぶ町があります。一見、他の町と変った所はありませんが、そこにある研究所と工場で、トウモロコシから食品容器が作られています。

 石油から作られるプラスチック容器の出現により、食品の他あらゆる物の運搬が容易になったのは事実ですが、その代償として、各国ではゴミの処理に悩まさ れています。石油由来のプラスチック容器が生分解 (biodegradation)するには、数世紀を要するとされています。

 一方、トウモロコシ容器 ( container をもじって、corntainer) は、 約1ヶ月で生分解され、100%、土に返ります。また、製造過程における環境破壊ガスの発生も、石油製品のそれよりも60%少ないと環境保護の点でどちら が優れているかは、一目瞭然です。

 現に、石油由来のプラスチック袋や使い捨て容器の使用が禁止さいる台湾では、トウモロコシ由来のプラスチックを使った製品が多数製造輸出されています。

 石油に代るエネルギー開発と並んで、今後、トウモロコシ容器の需要が伸びることは確かで、10年後には、米国のトウモロコシの総生産量の約10%が容器や 繊維に変換されると予想されています。 (2004年3月10日)


(ハワイパシフィックプレス連載)

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